ザガーロカプセルの添付文書(2025年8月改訂・第2版)には、前立腺に関する記載が次の2か所にあります。
- 「8.2 重要な基本的注意」:前立腺肥大症患者にデュタステリド0.5mg/日を投与した場合、前立腺癌の存在下であっても、投与6ヵ月後にPSA値を約50%減少させる
- 「15.1.3 臨床使用に基づく情報」:Modified Gleason Score 8〜10の前立腺癌の発現率が、プラセボ群(0.5%)に対しデュタステリド群(1.0%)において高かったとの報告がある
このページは、それぞれの原文と条件を並べたものです(2026年10月21日確認)。
この記事は情報の整理であり、医師の診断や指導に代わるものではありません。服用中の症状や検査については処方元の医師にご相談ください。
8.2 PSA値に関する記載
「8.2」は次のとおり始まります。
本剤は、血清前立腺特異抗原(PSA)に影響を与えるので、前立腺癌等の検査に際しては、以下の点に注意すること。また、PSAの検査を受ける際には本剤の服用について検査を行う医師に知らせるよう、患者を指導すること。
続く記載は次のとおりです。
- PSA値は、前立腺癌のスクリーニングにおける重要な指標である。一般に、PSA値が基準値(通常、4.0ng/mL)以上の場合には、更なる評価が必要となり、前立腺生検の実施を考慮に入れる必要がある。
- 本剤投与中の患者で、本剤投与前のPSA値が基準値未満であっても、前立腺癌の診断を除外しないように注意すること。
- 本剤投与6ヵ月以降のPSA値を新たなベースラインとし、その後は適宜PSA値を測定してベースラインからの変動を評価すること。
- デュタステリドは、前立腺肥大症患者に0.5mg/日投与した場合、前立腺癌の存在下であっても、投与6ヵ月後にPSA値を約50%減少させる。したがって、本剤を6ヵ月以上投与している患者のPSA値を評価する際には、測定値を2倍した値を目安として基準値と比較すること。
- PSA値は、本剤投与中止後6ヵ月以内に本剤投与開始前の値に戻る。なお、男性型脱毛症患者においても、臨床試験の結果から、本剤投与によりPSA値が減少すると推測される。
- 本剤投与中におけるPSA値の持続的増加に対しては、前立腺癌の発現や本剤の服薬不遵守を考慮に含め、注意して評価すること。
- 本剤投与中において、free/total PSA比は一定に維持されるので、前立腺癌のスクリーニングの目的で% free PSAを使用する場合には、測定値の調整は不要である。
ザガーロカプセルの添付文書の用法及び用量は、男性成人にデュタステリドとして0.1mgを1日1回経口投与し、必要に応じて0.5mgを1日1回経口投与する、という内容です。規格ごとの記載はザガーロの副作用に並べています。
PSA以外の項目を含めた全体はデュタステリドの副作用に並べています。
15.1.3 Modified Gleason Score 8〜10の前立腺癌の発現率
「15.1 臨床使用に基づく情報」の15.1.3の記載です。
白人を主体とした50~75歳の男性8231例(生検により前立腺癌が陰性かつPSA値2.5~10.0ng/mL)を対象とした4年間の国際共同試験(日本人57例を含む)において、Modified Gleason Score注)8~10の前立腺癌の発現率がプラセボ群(0.5%)に対しデュタステリド群(1.0%)において高かった(相対リスク2.06[95%信頼区間:1.13-3.75])との報告がある
注)組織学的悪性度の指標
記載されている条件は次のとおりです。
| 項目 | 記載 |
|---|---|
| 対象 | 白人を主体とした50〜75歳の男性8231例(日本人57例を含む) |
| 選定の条件 | 生検により前立腺癌が陰性かつPSA値2.5〜10.0ng/mL |
| 期間 | 4年間(国際共同試験) |
| 指標 | Modified Gleason Score 8〜10(注:組織学的悪性度の指標) |
| 発現率 | プラセボ群0.5%、デュタステリド群1.0%(相対リスク2.06[95%信頼区間:1.13-3.75]) |
プロペシア錠の添付文書の対応する記載
プロペシア錠の添付文書「15.1.2」にも、Modified Gleason Score 8〜10の「高悪性度前立腺癌」の発現率についての記載があります。
| 成分(添付文書) | 試験 | プラセボ群 | 実薬群 | 相対リスク |
|---|---|---|---|---|
| デュタステリド(ザガーロカプセル) | 白人を主体とした50〜75歳の男性8231例・4年間 | 0.5% | 1.0% | 2.06[1.13-3.75] |
| フィナステリド(プロペシア錠) | 健康男性18,882例・7年間(フィナステリド5mg。添付文書は「本剤承認用量の5~25倍用量」と記載) | 1.1% | 1.8% | 1.70[1.23-2.34] |
プロペシア錠の記載の詳細はプロペシア錠の副作用に並べています。
15.1.1 精液特性に関する記載
ザガーロカプセルの添付文書の15.1.1は、海外臨床試験において、18〜52歳の健康成人(デュタステリド群:27例、プラセボ群:23例)を対象に、52週間の投与期間及び24週間の投与後追跡期間を通して、デュタステリド0.5mg/日の精液特性に対する影響を評価したと記載しています。
| 項目 | 投与52週目の平均減少率(プラセボ群の投与前値からの変化で調整) |
|---|---|
| 総精子数 | 23% |
| 精液量 | 26% |
| 精子運動率 | 18% |
| 精子濃度・精子形態 | 影響は認められなかった |
添付文書は、次の点もあわせて記載しています。
- デュタステリド群における総精子数の投与前値からの平均減少率は、24週間の追跡期間後においても23%のままだった。
- いずれの評価時期においても、全ての精液パラメータの平均値は正常範囲内であり、事前に規定した臨床的に重要な変動(30%)には至らなかった。
- デュタステリド群の2例において、投与52週目に投与前値から90%を超える精子数の減少が認められたが、追跡24週目には軽快した。
- デュタステリドの精液特性に及ぼす影響が、個々の患者の受胎能に対しどのような臨床的意義をもつかは不明である。
15.1.2 男性乳癌に関する記載
「15.1.2」には、デュタステリドを投与された前立腺肥大症患者で男性乳癌が報告されていること、デュタステリドと男性乳癌の発現との関連性は不明であること、前立腺肥大症患者を対象とした2〜4年間の海外臨床試験(4325例)において3例の乳癌が報告され、そのうちデュタステリドが投与された症例が2例(曝露期間10週間、11ヵ月)、プラセボのみが投与された症例が1例であること、国内臨床試験での報告はないことが記載されています。
入手方法ごとの制度上の違いはAGA治療薬の入手方法に整理しています。
出典
- ザガーロカプセル0.1mg/ザガーロカプセル0.5mg 添付文書(2025年8月改訂・第2版、グラクソ・スミスクライン株式会社。PMDA)
- プロペシア錠0.2mg/プロペシア錠1mg 添付文書(2023年8月改訂・第4版、オルガノン株式会社。PMDA)