AGAとは|ガイドライン2017年版の定義・頻度・推奨度

日本皮膚科学会のガイドラインは、男性型脱毛症(male pattern hair loss, androgenetic alopecia)について記載しています。

このページでは、このガイドラインに書かれていることを整理します(2026年10月21日確認)。

この記事は情報の整理であり、医師の診断や指導に代わるものではありません。

ガイドラインの版(2010年版と2017年版)

日本皮膚科学会のホームページの「ガイドライン」一覧に掲載されている脱毛症のガイドラインは、「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン(2017年版)」と「円形脱毛症診療ガイドライン2024」の2件です。円形脱毛症診療ガイドラインは、円形脱毛症を対象とした別のガイドラインです。

前の版について、ガイドラインには「「日本皮膚科学会男性型脱毛症診療ガイドライン2010」の作成は,日本皮膚科学会と毛髪科学研究会(Society for Hair Science Research:SHSR)の共同事業として発足し,2010年に日本皮膚科学会から発表された」と記載されています。2017年版は「第2版」とされています。

改訂の理由について、ガイドラインには次の記載があります。

その後,新しい治療薬や治療手段が登場したこと,女性の男性型脱毛症に対する概念の変化があったことなどより今回のガイドラインの改訂に至った.また未承認の毛髪再生医療に関する社会的話題も多く,これについても言及することとなった.

今後の改訂について、ガイドラインは「今後とも定期的に改訂していく予定である」と記載しています。

ガイドラインの疾患概念

ガイドラインの「疾患概念」には、次の記載があります。

男性型脱毛症とは,毛周期を繰り返す過程で成長期が短くなり,休止期にとどまる毛包が多くなることを病態の基盤とし,臨床的には前頭部や頭頂部の頭髪が,軟毛化して細く短くなり,最終的には頭髪が皮表に現れなくなる現象である.この病態は男女を問わず同一で有り,休止期脱毛と異なり,パターン化した脱毛が特徴である.

ガイドラインが引用している参考文献の題名には「男性型脱毛症(AGA)」の表記があります。

発症頻度と進行

ガイドラインには、次の記載があります。

日本人男性の場合には20歳代後半から30歳代にかけて著明となり,徐々に進行して40歳代以後に完成される.

発症頻度について、ガイドラインは「25年前の本邦における男性型脱毛症の統計から,日本人男性の発症頻度は全年齢平均で約30%と報告されている.この発症頻度は現在もほぼ同程度であり,20代で約10%,30代で20%,40代で30%,50代以降で40数%と年齢とともに高くなる」と記載しています。

年代 発症頻度
20代 約10%
30代 20%
40代 30%
50代以降 40数%
全年齢平均 約30%

20歳未満についての記載

ガイドラインは、フィナステリド内服(CQ1)について「国内の臨床試験は20歳以上の男性を対象に行われたので,わが国では20歳未満に対する安全性は確立していない」、デュタステリド内服(CQ2)について「本邦男性については,ランダム化比較試験のうち1件の国際臨床試験で20歳以上の男性を対象に行われたので,20歳未満に対する安全性は確立していない」と記載しています。

プロペシア錠とザガーロカプセルの添付文書の「5.2」には、いずれも「20歳未満での安全性及び有効性は確立されていない。」とあります。リアップX5プラスネオの添付文書の「次の人は使用しないでください」には「未成年者(20歳未満)」が挙げられています。

ガイドラインの記載(遺伝・男性ホルモン・病態)

男性型脱毛症の発症には遺伝と男性ホルモンが関与するが,遺伝的背景としては X 染色体上に存在する男性ホルモンレセプター遺伝子の多型や常染色体の 17q21 や 20p11 に疾患関連遺伝子の存在が知られている.

病態の項には、次の記載があります。

一般的に男性ホルモンは骨・筋肉の発達を促し,髭や胸毛などの毛を濃くする方向に働く.しかし,前頭部や頭頂部などの男性ホルモン感受性毛包においては逆に軟毛化現象を引き起こす.

リアップX5プラスネオの添付文書には、「使用前に医師又は薬剤師に相談してください」として「家族,兄弟姉妹に壮年性脱毛症の人がいない人」が挙げられ、「壮年性脱毛症の発症には遺伝的要因が大きいと考えられます」と記載されています。

診断についての記載

ガイドラインには、次の記載があります。

男性型脱毛症の診断は問診により家族歴,脱毛の経過などを聴き,視診により額の生え際が後退し前頭部と頭頂部の毛髪が細く短くなっていることを確認する.拡大鏡やダーモスコピーの使用も診断の手助けとなる.

脱毛の型の分類

ガイドラインは、分類について次のように記載しています。

わが国では男性型脱毛症の分類として緒方の分類,欧米では Norwood の分類があるが,現在わが国では Norwoodの分類に高島分類の頭頂部が薄くなるII vertex を加えた分類が広く使用されている.女性型脱毛症の分類としては Ludwig 分類が知られているが,より早期からの診断や鑑別診断を考慮した診断基準が提唱されている.

除外することが大切とされている脱毛

ガイドラインには、続けて次の記載があります。

男性型脱毛症の診断は比較的容易であるが,ゆっくりと頭髪が抜け,頭部全体が疎になる円形脱毛症の亜型,女性型脱毛症においては,慢性休止期脱毛,膠原病や慢性甲状腺炎などの全身性疾患に伴う脱毛,貧血,急激なダイエット,その他の消耗性疾患などに伴う脱毛,治療としてのホルモン補充療法や薬剤による脱毛などを除外することが大切である.

女性についての記載

ガイドラインは、女性について次のように記載しています。

一方,女性では男性と異なり,頭頂部の比較的広い範囲の頭髪が薄くなるパターンとして観察される.発症時期についても男性とは異なり,更年期に多発するようになる.また後述する男性ホルモン依存性では病態が説明できない場合も有り,現在では男性型脱毛症より「女性型脱毛症(female pattern hair loss)」という病名を用いることが国際的にも多くなってきている.以上のような病態の違いを考慮して,今回の診療ガイドラインでは病名として女性型脱毛症を用いることとした.

治療法14項目の推奨度

ガイドラインは14のClinical Question(CQ)を立て、表1に推奨度をまとめています。

CQ 内容 推奨度
CQ1 フィナステリドの内服は有用か? A(男性型脱毛症)/D(女性型脱毛症)
CQ2 デュタステリドの内服は有用か? A(男性型脱毛症)/D(女性型脱毛症)
CQ3 ミノキシジルの外用は有用か? A
CQ4 植毛術は有用か? 自毛植毛術はB(男性型脱毛症)・C1(女性型脱毛症)/人工毛植毛術はD
CQ5 LED および低出力レーザー照射は有用か? B
CQ6 アデノシンの外用は有用か? B(男性型脱毛症)/C1(女性型脱毛症)
CQ7 カルプロニウム塩化物の外用は有用か? C1
CQ8 t-フラバノンの外用は有用か? C1
CQ9 サイトプリンおよびペンタデカンの外用は有用か? C1
CQ10 ケトコナゾールの外用は有用か? C1
CQ11 かつらの着用は有用か? C1
CQ12 ビマトプロストおよびラタノプロストの外用は有用か? C2
CQ13 成長因子導入および細胞移植療法は有用か? C2
CQ14 ミノキシジルの内服は有用か? D

推奨度の分類は、ガイドラインで次のように定義されています。

推奨度 意味
A 行うよう強く勧める
B 行うよう勧める
C1 行ってもよい
C2 行わないほうがよい
D 行うべきではない

ガイドラインには、推奨度の分類に続けて次の記載があります。

ただし,本文中の推奨度が必ずしも上記の判断基準に一致しないものがある.その理由は,この分野では国際的にもエビデンスが不足している状況,日本の歴史的背景や特殊事情,さらに診療ガイドラインの実用性も考慮して,委員会のコンセンサスに基づき推奨度を決定した項目があるからである.

表1で推奨度Aが付いているのは、CQ1(男性型脱毛症)、CQ2(男性型脱毛症)、CQ3です。推奨度Dが付いているのは、CQ1・CQ2の女性型脱毛症、CQ4の人工毛植毛術、CQ14です。

各成分の副作用はミノキシジルの副作用、フィナステリドの副作用、デュタステリドの副作用にまとめています。ミノキシジルとフィナステリドの違いはミノキシジルとフィナステリドの違いにあります。

リアップX5プラスネオ・リアップリジェンヌの添付文書にある「使用しないでください」の記載

リアップX5プラスネオの添付文書には、「次の人は使用しないでください」として次が挙げられています。

  • 壮年性脱毛症以外の脱毛症(例えば,円形脱毛症,甲状腺疾患による脱毛等)の人,あるいは原因のわからない脱毛症の人(「本剤は壮年性脱毛症でのみ有効です。」)
  • 脱毛が急激であったり,髪が斑状に抜けている人(「壮年性脱毛症以外の脱毛症である可能性が高い。」)

リアップリジェンヌ(女性用)の添付文書には、これらに加えて次が挙げられています。

  • 妊娠,出産に伴い脱毛している人
  • 避妊用ピルの使用をやめたことにより脱毛している人
  • 頭頂部だけでなく,側頭部や後頭部も含めた頭部全体が脱毛している人
  • 頭皮から強く引っ張るような髪型によって脱毛している人

関連ページ

出典

  • 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版(日本皮膚科学会)日皮会誌 127(13), 2763-2777, 2017
  • 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧
  • リアップX5プラスネオ 添付文書(PMDA)
  • リアップリジェンヌ 添付文書(PMDA)
  • プロペシア錠0.2mg/プロペシア錠1mg 添付文書(PMDA)
  • ザガーロカプセル 添付文書(PMDA)
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