デュタステリドの効果は、ザガーロカプセルの添付文書では頭頂部の直径2.54cmの円の中にある毛髪の本数で測られています。
24週の試験で、ベースラインからの変化は0.5mg群が89.6本増、0.1mg群が63.0本増、プラセボ群は4.9本減でした。効果を評価するには「通常6ヵ月間の治療が必要」と添付文書に書かれています。
このページでは、添付文書と日本皮膚科学会のガイドラインに載っている効果の数値だけを整理します(2026年10月21日確認)。
この記事は情報の整理であり、医師の診断や指導に代わるものではありません。
承認されている効能は「男性における男性型脱毛症」
ザガーロカプセル(グラクソ・スミスクライン、2025年8月改訂・第2版)の記載です。
| 項目 | 添付文書の記載 |
|---|---|
| 効能又は効果 | 男性における男性型脱毛症 |
| 効能又は効果に関連する注意 | 男性における男性型脱毛症のみの適応。他の脱毛症に対する適応はない。20歳未満での安全性及び有効性は確立されていない |
| 用法及び用量 | 通常0.1mgを1日1回。必要に応じて0.5mgを1日1回 |
| 作用機序 | テストステロンをジヒドロテストステロン(DHT)へ変換する1型及び2型5α還元酵素を阻害する |
プロペシア錠の添付文書の効能又は効果は「男性における男性型脱毛症の進行遅延」です。
日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」では、デュタステリド内服は男性型脱毛症に推奨度A(行うよう強く勧める)、女性型脱毛症には**推奨度D(行うべきではない)**です。
添付文書の臨床試験の数値
24週の国際共同試験(917例・日本人200例を含む)
20〜50歳の男性型脱毛症患者を対象に、デュタステリド3用量・プラセボ・フィナステリド1mgを比べた試験です。測ったのは頭頂部の直径2.54cm円内の毛髪数のベースラインからの変化です。
| 群 | 24週時の変化量 | プラセボとの差 |
|---|---|---|
| プラセボ | -4.9本 | — |
| デュタステリド0.02mg(承認用量外) | 17.1本 | 22.0本 |
| デュタステリド0.1mg | 63.0本 | 67.9本 |
| デュタステリド0.5mg | 89.6本 | 94.4本 |
| フィナステリド1mg | 56.5本 | 61.4本 |
数値は線形モデルに基づく調整済み平均値です。添付文書は「本剤0.1及び0.5mgのプラセボに対する優越性及びフィナステリド1mgに対する非劣性が検証された」と記載しています。
0.02mgは承認用量ではありません(承認用量は0.1mgまたは0.5mg)。
52週の国内長期投与試験(120例)
0.5mgだけを52週間投与した試験で、52週時の頭頂部円内の毛髪数の変化量は68.1本でした。添付文書の表現は「改善が示された」です。
DHTはどれだけ下がるか
| 血清中DHTの変化(24週時) | 頭皮中DHTの変化(6ヵ月)(外国人データ) | |
|---|---|---|
| 0.1mg | -83.6% | 40%減少 |
| 0.5mg | -90.9% | 52%減少 |
頭皮中のDHT濃度の低下と発毛作用(毛髪数の増加量)との間には「関連性がみられた」と書かれています。
24週の試験でのフィナステリド1mgとの差
24週の試験でフィナステリド1mgとの差を見ると、0.5mgは33.0本多く(p=0.003)、0.1mgは6.5本多いものの p=0.56 でした。0.1mgについて添付文書が検証されたとしているのは、フィナステリド1mgに**劣らないこと(非劣性)**です。
ガイドラインは、デュタステリド0.5mg/日とフィナステリド1mg/日の比較では、同じ国際臨床試験について次のように書いています。
- 全毛髪数と毛直径の増加はデュタステリドの方が優れていた
- 直径60μm以上の硬毛数では両者間に有意な差がなかった
- 写真評価は、治験担当者のスコアでは有意差なし。3名のエキスパートパネルの評価ではデュタステリドが優れていたが、点数差は頭頂部0.14・前頭部0.24とわずか
そのうえで「両者の効果差については今後さらなる検討を要する」としています。2つの成分の違いを並べた表はフィナステリドとデュタステリドの違いにまとめています。
前頭部についての記載
添付文書の臨床試験で測られているのは頭頂部の毛髪数で、前頭部の毛髪数の数値は載っていません。
試験の対象は Norwood-Hamilton 分類のⅢv・Ⅳ・Ⅴです。AGAについてはAGAとは|ガイドライン2017年版の定義・頻度・推奨度にまとめています。
効果判定は6か月
添付文書の「用法及び用量に関連する注意」です。
投与開始後12週間で改善が認められる場合もあるが、治療効果を評価するためには、通常6ヵ月間の治療が必要である。
本剤を6ヵ月以上投与しても男性型脱毛症の改善がみられない場合には投薬を中止すること。
ガイドラインは国内の120名・52週の試験について、写真評価が26週に1.34、52週に1.50とベースラインより有意に増えた一方、「26週から52週にかけて有意な改善があったかどうかは統計学的に明らかではない」と書いています。
また、ガイドラインは、同じ項で取り上げた臨床試験では1年を超える長期投与での効果や投与中止後の毛髪量変化については検討されていないと記載しています。
効果と一緒に書かれている副作用
効果の数値と同じ試験で、副作用の発現頻度も報告されています。
| 試験 | 副作用発現頻度 | 主な副作用 |
|---|---|---|
| 24週の国際共同試験(0.02mg群を含む) | 17.1%(95/557例) | 勃起不全4.3%、リビドー減退3.9%、精液量減少1.3% |
| 52週の国内長期投与試験(0.5mg) | 16.7%(20/120例) | 勃起不全10.8%、リビドー減退8.3%、射精障害4.2% |
PSA値への影響・献血・女性が触れてはいけない理由などはデュタステリドの副作用に、製品の規格ごとの注意はザガーロの副作用にまとめています。
ザガーロカプセルの添付文書の規制区分は、劇薬、処方箋医薬品です。入手経路ごとの制度上の違いはAGA治療薬の入手方法で整理しています。
出典
- ザガーロカプセル0.1mg/ザガーロカプセル0.5mg 添付文書(2025年8月改訂・第2版、グラクソ・スミスクライン株式会社)
- 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版(日本皮膚科学会)