フィナステリドとデュタステリドは、どちらも男性ホルモンをジヒドロテストステロン(DHT)に変える5α還元酵素を阻害する内服薬です。違いは、フィナステリドがⅡ型だけ、デュタステリドは1型と2型の両方を阻害する点です。
日本皮膚科学会のガイドラインでは、どちらも男性型脱毛症に推奨度Aです。そのうえで、効能の書き方、用量、半減期の記載、「服薬と献血について」の記載が違います。
このページでは、プロペシア錠とザガーロカプセルの添付文書、ガイドライン、福岡県赤十字血液センターの「服薬と献血について」を並べて比べます(2026年10月21日確認)。
この記事は情報の整理であり、医師の診断や指導に代わるものではありません。
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| フィナステリド | デュタステリド | |
|---|---|---|
| 販売名(製造販売元) | プロペシア錠(オルガノン株式会社) | ザガーロカプセル(グラクソ・スミスクライン株式会社) |
| 阻害する5α還元酵素 | Ⅱ型を選択的に | 1型及び2型 |
| 効能又は効果 | 男性における男性型脱毛症の進行遅延 | 男性における男性型脱毛症 |
| 用法及び用量 | 通常0.2mg、上限1mg(1日1回) | 通常0.1mg、必要に応じて0.5mg(1日1回) |
| 剤形 | 錠剤(コーティング錠) | 軟カプセル |
| 規制区分 | 劇薬・処方箋医薬品 | 劇薬・処方箋医薬品 |
| 効果判定 | 通常6ヵ月の連日投与が必要 | 通常6ヵ月間の治療が必要 |
| ガイドライン推奨度 | A(男性型脱毛症)/D(女性型脱毛症) | A(男性型脱毛症)/D(女性型脱毛症) |
効果の違い — 24週の直接比較
ザガーロの添付文書には、フィナステリド1mgと直接比べた24週の国際共同試験(917例、日本人200例を含む)が載っています。頭頂部の直径2.54cm円内の毛髪数の変化です。
| 群 | 24週時の変化量 | フィナステリド1mgとの差 |
|---|---|---|
| フィナステリド1mg | 56.5本 | — |
| デュタステリド0.1mg | 63.0本 | 6.5本(p=0.56) |
| デュタステリド0.5mg | 89.6本 | 33.0本(p=0.003) |
| プラセボ | -4.9本 | — |
添付文書が検証されたとしているのは、デュタステリド0.1mg・0.5mgのプラセボに対する優越性とフィナステリド1mgに対する非劣性です。
ガイドラインは、デュタステリド0.5mg/日とフィナステリド1mg/日を比較した同じ試験について、全毛髪数と毛直径はデュタステリドが優れていたが、直径60μm以上の硬毛数は有意差がなく、写真評価の差も頭頂部0.14・前頭部0.24とわずかだったとし、「両者の効果差については今後さらなる検討を要する」と書いています。
効果の数値はそれぞれフィナステリドの効果とデュタステリドの効果にまとめています。
副作用の違い
添付文書の記載をそのまま並べます。
| フィナステリド(プロペシア) | デュタステリド(ザガーロ) | |
|---|---|---|
| 性機能系 | リビドー減退 1〜5%未満、勃起機能不全・射精障害・精液量減少 1%未満 | 性機能不全(リビドー減退、勃起不全、射精障害)1%以上 |
| 重大な副作用 | 肝機能障害(頻度不明) | 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明) |
成分ごとの全項目はフィナステリドの副作用とデュタステリドの副作用にあります。
半減期などの記載
| フィナステリド | デュタステリド | |
|---|---|---|
| 添付文書の半減期 | 健康成人にフィナステリド0.2mg及び1mgを単回経口投与した時、3及び4時間 | 前立腺肥大症患者に0.5mgを1日1回6ヵ月間反復経口投与した時の定常状態で3.4±1.2週間 |
| 中止後の記載 | — | 0.1mg・0.5mgを24週投与後、血清中濃度が定量下限未満になったのは最終投与後12週・20週(外国人データ) |
| PSA値の戻り | — | 投与中止後6ヵ月以内に投与開始前の値に戻る |
福岡県赤十字血液センターの「服薬と献血について」
福岡県赤十字血液センターの「服薬と献血について」には、「下記に主なお薬を示していますが、献血にご協力いただけるか否かについては、当日の健診医が最終的に判断します。」との但し書きがあり、次の記載があります。
| 薬 | 記載 |
|---|---|
| AGA治療薬(フィナステリド、プロペシア、プロスカー等) | 服薬中止後1カ月献血不可 |
| AGA治療薬(デュタステリド、ザガーロ、アダボート等) | 服薬中止後6カ月献血不可 |
禁忌と接触についての記載
| フィナステリド | デュタステリド | |
|---|---|---|
| 禁忌(女性・小児等・肝機能に関する記載) | 妊婦又は妊娠している可能性のある女性及び授乳中の女性 | 女性、小児等、重度の肝機能障害のある患者 |
| 接触についての記載 | 粉砕・破損した錠剤を妊婦等は取り扱わない。コーティングされているので、割れたり砕けたりしない限り通常の取扱いで有効成分に接触することはない | 経皮吸収されるので、女性や小児はカプセルから漏れた薬剤に触れない。触れたら直ちに石鹸と水で洗う |
デュタステリドの禁忌には「他の5α還元酵素阻害薬に対し過敏症の既往歴のある患者」も含まれています。
PSA値への影響
- フィナステリド:プロペシア錠の添付文書「12. 臨床検査結果に及ぼす影響」に、国内で実施した24歳から50歳の男性型脱毛症患者で血清PSA濃度が約40%低下し、海外臨床試験の高年齢層の前立腺肥大症患者では約50%低下したこと、男性型脱毛症患者に対し前立腺癌診断の目的で測定する場合は2倍した値を目安として評価することが記載されている
- デュタステリド:ザガーロカプセルの添付文書「8.2」に、前立腺肥大症患者に0.5mg/日投与した場合、投与6ヵ月後にPSA値を約50%減少させること、本剤を6ヵ月以上投与している患者のPSA値の評価では測定値を2倍した値を目安とすること、男性型脱毛症患者においても本剤投与によりPSA値が減少すると推測されることが記載されている
- ガイドライン:フィナステリド、デュタステリドそれぞれについて、投与中の男性型脱毛症患者で前立腺癌診断の目的で血清PSA濃度を測定する場合は、2倍した値を目安として評価すべきと記載されている
プロペシア錠とザガーロカプセルの添付文書の規制区分は、どちらも劇薬、処方箋医薬品です。入手経路ごとの制度上の違いはAGA治療薬の入手方法で整理しています。
出典
- プロペシア錠0.2mg/プロペシア錠1mg 添付文書(2023年8月改訂・第4版、オルガノン株式会社)
- ザガーロカプセル0.1mg/ザガーロカプセル0.5mg 添付文書(2025年8月改訂・第2版、グラクソ・スミスクライン株式会社)
- 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版(日本皮膚科学会)
- 服薬と献血について(福岡県赤十字血液センター)