フィナステリドの効果|「進行遅延」の意味と試験の数値

プロペシア錠(成分名フィナステリド)の添付文書の効能又は効果は、**「男性における男性型脱毛症の進行遅延」**です。

国内で行われた48週の試験では、頭頂部の写真評価で「改善」と判定されたのが1mg群で58.3%、0.2mg群で54.2%、プラセボ群で**5.9%**でした。効果が確認できるまでには「通常6ヵ月の連日投与が必要」と添付文書に書かれています。

このページでは、添付文書と日本皮膚科学会のガイドラインに載っている効果の記載だけを整理します(2026年10月21日確認)。

この記事は情報の整理であり、医師の診断や指導に代わるものではありません。

「進行遅延」として承認されている意味

プロペシア錠(オルガノン、2023年8月改訂・第4版)の記載です。

項目 添付文書の記載
効能又は効果 男性における男性型脱毛症の進行遅延
用法及び用量 通常0.2mgを1日1回。必要に応じて適宜増量できるが、1日1mgを上限
作用機序 5α-還元酵素Ⅱ型を選択的に抑制し、テストステロンからジヒドロテストステロンへの変換を阻害し、発毛作用を示すものと考えられる

日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」では、フィナステリド内服は男性型脱毛症に**推奨度A(行うよう強く勧める)**です。

臨床試験の数値

国内48週の試験(414例)

24〜50歳の男性型脱毛症患者を対象に、頭頂部の毛髪の変化を写真で7段階に評価した試験です。

群 48週で「改善」と判定された割合
0.2mg 54.2%(71/131例)
1mg 58.3%(77/132例)
プラセボ 5.9%(8/135例)

添付文書は、0.2mgと1mgはいずれもプラセボより統計的に有意な改善を示したが、0.2mgと1mgの間には統計的な有意差は認められなかったと書いています。

その後の継続投与

期間 内容 出典
通算96週 移行可能であった374例全例に1mgを投与した長期投与試験で、有効性(頭頂部写真評価)は維持された 添付文書
2年・3年 1mgの継続で、軽度改善以上が2年で68%、3年で78% ガイドライン
5年 日本人801名の観察研究で、写真評価で**99.4%**の症例に効果。40歳未満・重症度の低い症例でより高い効果 ガイドライン

5年の数字は観察研究(ガイドラインの根拠水準はレベルⅢ)です。

システマティック・レビュー

12件のランダム化比較試験・3,927名を解析したレビューでは、脱毛部1cm²あたりの硬毛数が、投与6か月後・24か月後のいずれでもプラセボより有意に増えていました(ガイドライン)。

1mgに増やしても効果の増強は確認されていない

添付文書の「用法及び用量に関連する注意」に、次の1文があります。

なお、増量による効果の増強は、確認されていない。

用量についてはプロペシア錠の副作用で0.2mgと1mgの違いを整理しています。

効果が確認できるまでの期間

3ヵ月の連日投与により効果が発現する場合もあるが、効果が確認できるまで通常6ヵ月の連日投与が必要である。また、効果を持続させるためには継続的に服用すること。
本剤を6ヵ月以上投与しても男性型脱毛症の進行遅延がみられない場合には投薬を中止すること。

ガイドラインも「少なくとも6カ月程度は内服を継続し効果を確認すべきである」としています。

中止についての記載

ガイドラインには「内服を中止すると効果は消失する」と書かれています。添付文書も「効果を持続させるためには継続的に服用すること」としています。

適応・安全性についての記載

対象 記載
女性 添付文書:女性に対する適応はない。海外で実施した閉経後女性の男性型脱毛症を対象とした12ヵ月間のプラセボ対照二重盲検比較試験(n = 137)において、フィナステリドの有効性は認められなかった
20歳未満 添付文書:20歳未満での安全性及び有効性は確立されていない。ガイドライン:国内の臨床試験は20歳以上の男性を対象に行われたので、わが国では20歳未満に対する安全性は確立していない
男性型脱毛症以外の脱毛症 適応はない

添付文書の禁忌には妊婦又は妊娠している可能性のある女性及び授乳中の女性が含まれ、粉砕・破損した場合にこれらの女性は取扱わないこととされています。副作用の発現頻度や献血・PSA検査への影響はフィナステリドの副作用にまとめています。

デュタステリドとの関係

同じ推奨度Aの内服薬にデュタステリド(ザガーロ)があります。フィナステリドがⅡ型だけを阻害するのに対し、デュタステリドは1型と2型の両方を阻害します。効果の数値はデュタステリドの効果に、2つの違いはフィナステリドとデュタステリドの違いにまとめています。

プロペシア錠の添付文書の規制区分は、劇薬、処方箋医薬品です。入手経路ごとの制度上の違いはAGA治療薬の入手方法で整理しています。

出典

  • プロペシア錠0.2mg/プロペシア錠1mg 添付文書(2023年8月改訂・第4版、オルガノン株式会社)
  • 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版(日本皮膚科学会)
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